学問・思想・文化の自由で創造的な発展を妨げる「特定秘密保護法案」の強行採決に抗議する
2013年12月8日 総会特別決議

学問・思想・文化の自由で創造的な発展を妨げる「特定秘密保護法案」の強行採決に抗議する

2013年12月8日
2013年度社会文化学会総会

 学者・マスコミ・出版界を含めて多くの国民が大きな危惧を抱き、反対を表明しているにもかかわらず、「特定秘密保護法案」(以下、「法案」)が、十分な説 明と審議がなされないままに、12月6日政府与党によって強行採決された。社会文化の多元的・創造的形成に寄与することを目指す私たち社会文化学会は、以 下の理由で本法案の成立に抗議する。

1.「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)」(2013年6月12日)は、 情報へのアクセスが、真の国家安全保障、民主的参加および健全な政策形成のきわめて重要な構成要素であり、これによってこそ正当な国家安全保障上の利益が 守られることを基本原則にしている。
しかし、本法案はこの国際的原則にまったく反して、「国家の安全保障」を最優先して、その名のもとに国民の知る権利を制限し剥奪するものとなっており、かえってその趣旨のうちにある「国民の安全の確保」をおびやかすものになっている。

2. 私たち社会文化学会は、その設立趣意書にあるように、新しい「社会文化空間」の多元的・創造的形成に寄与しうることを目的とした基礎的・学術的な研究討論 の場を確保することを目指している。そして社会的文化的空間を豊かに発展させる活動や研究のためには、日本国憲法に保障されている思想・信教の自由、言論 等の表現の自由、学問の自由、集会・結社の自由など基本的人権が必要不可欠である。

しかし、本法案は、安全保障に関わる情報の範囲を「特定の秘 密」の名の下に恣意的に指定できるだけではなく、情報の漏洩や情報へのアクセスをも厳罰に処するものとなっている。これは、「国民の知る権利」のみなら ず、言論等の表現の自由、学問の自由を侵害するものである。社会文化に関わるさまざまな取り組みや、またそれに関わる研究者の調査活動ならびにその成果の 公表、これらに関わる自由が、「国家の安全保障」のためと称して、剥奪される危険性が大いにある。

以上の理由から、私たち社会文化学会は、本総会の名において、本学会の活動を根本的に妨げ、学問・思想・文化の自由で創造的な発展を妨げる「特定秘密保護法案」の強行採決に抗議する。